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アマチュア無線におけるペーパーワーク

No job is finished until the paperwork is done.

この言葉を仕事の場面で、とりわけ上司から説教じみたお話の中で聞いたことのある方は多いのではないかと思います。

つまり、実験をしたら論文を書き、出張をしたなら報告書を作成し、お金を動かしたら収支決済を作成し、トイレに行ったら紙で拭う。というように全ての行動の仕上げには「Paperwork」が必要となります。ですので「Paperwork」がないとその仕事や取り組みが終わったことにならないというのがこの標語の意味です。

ただ、この「Paperwork」はこれ自体に何も生産性が感じられないので非常に辛い仕事です。

ところで、アマチュア無線の「Paperwork」ではどうでしょう。そうです。QSLにかんする処理かと思います。

  • ログへの記録と整理
  • QSLカードの作成・発行または電子QSLへのデータの追加
  • QSLカードや電子QSLでのCMF確認とその整理

などでしょうか。こうした、事後処理が面倒だという方も多いのではないでしょうか。こうしたことが煩わしくてアマチュア無線局を閉局する方もいるようです。

一方で、写真が趣味の方やイラストが趣味の局は作品の公開場所としてQSLカードを利用している方も多いのではないでしょうか。プロ級の腕前の写真やイラストがQSLカードに印刷されている局も非常に多いです。こうした方々はQSLカード作成と発行自体も楽しめるのではないでしょうか。

アマチュア無線は無線機作成や通信に関する科学力、QSLカード作成に関わる芸術力、語学力やコミュニュケーション能力など、単に無線交信だけでなく多種多様な能力から構成され、趣味趣向に応じた楽しみ方ができるのが特徴です。だからこそ他の無線と違い多くの人が長年にわたり楽しめる趣味なんだと思います。

QSLカード交換について

QSLカード交換を否定する局がTwitterやYouTubeなどのソーシャルメディアを使って主張を展開しております。極端な例では「QSLカード交換撲滅」と言う局もおります。こうした主張の発端の多くは、QSLカード交換を求めている局と交信した際にQSLを出す出さないで不快に感じたということが原因になっているようです。このことについて今回は考えて見たいと思います。

QSLカードを発行しない局の多くが先ず最初に主張するのは以下の点です。

  1. QSLカード発行には法的義務はない。
  2. アマチュア無線免許を有しているのだからQSLカードを発行しなくてもアマチュア無線で交信する権利がある。
  3. アマチュア無線登録局数は425,000局、JARL会員は66,000局程度、JARL会員はQSLカード交換する局でそれ以外の局はQSLを交換しない局と仮定すると、QSLカード交換する局は圧倒的に少数派、なぜマイノリティーにあわせてQSLカードを交換しないといけないのか?
  4. QSLカード交換は時代遅れだ、古い慣習を押し付けるな。

以上がこれまでいくつかのメディアで議論した際に出てきた、QSL交換拒否局の主な主張です。

1)QSLカード発行には法的義務はない。
2)アマチュア無線免許を有しているのだからQSLカードを発行しなくてもアマチュア無線で交信する権利がある。

1)と2)はほぼ同じことを言っています。QSL交換局は、QSLカードを交換しない局に対して「アマチュア無線をしてはいけない」とは言っておりません。そういう発言を感情的にする人が数名はいるかも知れませんが。どうぞどんどん所謂NO QSLで交信してくださいというのが私の立場です。

ただし、QSLカードの交換はアマチュア無線において「交信の事実を証明する証明書」として100年以上も続いているものです。アマチュア無線の目的は自己訓練や技術的研究の要素を多分に含んでおり、自分の発した電波が何処まで、どのように届いたかを、口頭だけでなく第三者からも認められる証明書という形で交換しております。この交信証明がないと交信の事実として認められないのです。
したがって、QSLカード交換はアマチュア無線の無線交信の一部として行われております。特にDX交信では何処まで届くかの挑戦的交信をしていますので、遠方の局と交信できた場合にはなおさらQSLカード交換を必要とするのは当然です。

このように、QSL交信証明書の交換を無線交信の一部として、あるいは前提としてしている局のCQに応答しして、「NO QSLでお願いします」と言えば、貴重なEスポ時間を使って証明されない交信をするのは時間が勿体無いと思うのは当然です。また、「NO QSLで」と言ったことで相手局から嫌味を言われて気分を害するのも宜しくないと思います。

私の結論は、QSL交換を必要としている交信にはQSLカード否定局は声を掛けないほうがお互い気持ちよく無線をできる。と言うことです。これとは逆に、QSLカードを必要とする局は、「NO QSL局」に声をかけないということです。

これは、DX交信のようにQSL交換を必要としている交信か、ローカルラグチューなどのようなスタイルでQSL交換を必要していない局の交信かは、よくワッチすれば概ね推測できると思います。DXは前述したようにQSLカード交換必須として考えた方が良いでしょう。

では、CQを出すときはどうかというと、QSLカード交換はアマチュア無線の場合、上述の理由で一般的ですから、QSLカード発行拒否局が「Hello CQ CQ CQ Noカード 」と言えばわかりやすいと思います。そうすれば「互いの運用スタイル」に立ち入らなくて済みます。ここに立ち入るから、カードを出す出さないのイザコザが起こります。

その他の解決策として、QSL拒否局と発行局の歩み寄りが考えられます。頻繁に繋がる地域との交信であれば普段QSLカードを発行している局も「 QSLカード要らないよ」という局も多いと思います。一方、QSLカード拒否局は、初めての交信、あるいはどうしても「貴局とのQSLカードが欲しい」とリクエストされたら何らかの形(ダイレクト)で対応する歩み寄りが必要です。

3)アマチュア無線登録局数は425,000局、JARL会員は66,000局程度、JARL会員はQSLカード交換する局でそれ以外の局はQSLを交換しない局と仮定すると、QSLカード交換する局は圧倒的に少数派、なぜマイノリティーにあわせてQSLカードを交換しないといけないのか?

この比較は実態を反映ていません。 この数字が正しいとすれば、アマチュア局425,000局という数字は、JARLクラブ個人合わせて66,000局程度という数字の6.4倍です。この数字をQSL交換率に置換えて、いかにQSL交換が少ないかを主張しています。

しかし、不特定多数との交信を目的として運用している局のうち、「NOカード交信」している局がQSLカード交換をしている局の6.4倍もおりません。このことは実際の交信を聞けば明らかです。実際の交信で「NOカードでお願いします」と言われるのは一割程度と報告している局がおります。QSLカード交換している局が「NOカード交信局」の1/6.4(15.5%)しかいないなんて事実と大きく乖離したデタラメなお話です。

この数字を持って、「QSL交換する局はマイノリティーだ、だからアマチュア無線でQSLカードを交換しないのが普通なんだ」と言うことがいかに誤った統計の解釈かが分かると思います。
なぜなら、アマチュア局425,000局の中には、もともと不特定多数の交信を目的としない、狩猟ハンターさん、運転手間交信、コールサイン維持のために局面だけ維持している局、ハンディー機だけで開局してハングライダー、自転車、ボートなどレジャーの通信手段としてのみを目的として開局など全部含まれているからです。

4)QSLカード交換は時代遅れだ、古い慣習を押し付けるな。

「NOカード交信局」の中には「悪しき慣習」と言っている局もおります。QSLカードの交換は名だたるDXerもほとんどが対応おり単なる習慣ではないのです。電子QSLに対応していない局に対しても、ビューローが無い国の局であっても、ダイレクトであれば交信証明書の交換ができるのです。

また、「古い」や「時代遅れ」は、本人の感覚でありますし、無線をしていない人から見れば無線なんて「時代遅れだ」と言われます。「登山を楽しむ人にロープウェイ使えばいんじゃね〜」とか、「お遍路の方に車で廻りなよ」と言っているのと同じです。証明書の交換という意味の他に、それ自体の収集を楽しんでいる人も多いのです。それを「時代遅れ」というのは、余計なお世話です。

「そう言う趣味を人に押し付けるな」と考える人もいると思います。ですから、そういう趣味も含めて運用している交信に立ち入るとイザコザがおこるのです。よくワッチしてお互いの楽しみ方に立ち入らないように、NOカードの人はNOカードの人と交信すれば良いのです。


ご参考まで


以上が私の、QSLカード交換拒絶局のよくある言い分に対する考えです。

その他

議論をしていてなるほどと思う点もありました。それは、「JARLに入ってないのでNO QSLでお願いします」答えている局があるからです。
この場合は、以下のどちらかがわかりません。

理由1)JARLに入会していないからビューロが使えないのでQSL交換を断っている。
理由2)QSL交換に否定的で断る理由としてJARL非会員であることを理由としている。

のどちらかだと思います。
理由1の場合はビューロー抜きで郵送を使って交換をすることもできますので、そのことを提案すれば良いと思います。こう言うと、「住所を知られたくない」と言いますが、大丈夫です。EmailでどうしてもQSLカード欲しい人に住所を聞いて差出人の住所を書かずに送れば良いのです。QSLカードの証明書としての必須記載要件にも自宅住所は必要ありません。

こう言うと、「郵送にはお金がかかる」と言う局がおりますが、封書でも82円です。それが出せないほど困窮しているなら趣味としてアマチュア無線を継続は難しいのではと思います。

理由2ですが、これは発行自体を拒否しているので、上述のお互いの歩み寄りは望めません。「CQCQノーカード」でカード交換をしない局と交信を楽しめば良いだけのことです。ただしその理由としてJARL未加入であることは言う必要はありません。「当局はQSLカード交換を致しません」と言えば良いのです。

以上です。が最後に私のQSLカード発行に対する考えを書いておきます。

  • 依頼されれば快くQSLカード発行します。
  • NOカードの局へは快くNOカードを受け入れます。

ただし、どうしてもDX局や時局にとってレアな市町村や場所と繋がった時には丁寧に発行をお願いします。なぜならこれは交信できたことの証明書として。